コピペ115

攻殻機動隊笑い男編って結局何がいいたかったんですか?自分はよく分からなかったです。 笑い男編はどういうことだったのか、真相を教えてください。

順番に説明しますので長文です。悪しからず。

電脳化することが一般的になるにつれ、
「電脳硬化症」という新たな不治の病が現れました。
この病気の特効薬となりうる薬を、村井という薬学博士が作ったのですが、
「村井ワクチン」を一般に使用するには厚生労働省の認可が必要です。
当時、認可する審議部のトップにいたのが今来栖で、村井博士の同期でした。
村井博士の偉業に嫉妬心を覚えた今来栖は、
右から左へ「認可」のハンコを押すだけだった審議部において、
わざわざ「不認可」というハンコまで作らせて、村井ワクチンを不認可にします。
しかし、電脳硬化症を治療する手段は必要だったので、
マイクロマシン療法を開発中で、認可の申請をしていたいくつかの会社から、
一番ぺーぺーだった「セラノゲノミクス社」を選び、
セラノ社が開発した医療マイクロマシンを申請からたった3日で認可します。
それを期に、セラノゲノミクス社は電脳硬化症治療の大手として発展します。
一方、自らのワクチンが認められなかった村井博士は失意の中、亡くなります。

それから幾月かたったある日、凄腕ハッカーだった少年アオイが、
ネットを探索中にある送信エラーメールを見つけます。
それは、村井ワクチンとセラノ社のマイクロマシンの効能比較と、
認可に関する顛末をまとめた告発文でした。
世の不条理さに義憤を覚えたアオイは、セラノ社に情報公開を求め脅迫。
さらに社長セラノ氏を誘拐し、
「自社のマイクロマシンは電脳硬化症に効果がなく、村井ワクチンには敵わない」
と、セラノ氏自身の意志で発表するように迫ります。
電脳を支配され、3日間体の自由が利かなかったセラノ氏は疲れ、
つい了承するのですが、いざ自由になると、約束を破り立ち去ろうとします。
アオイも拳銃で脅迫したのですが、TVカメラに映ったため逃亡します。
「おでかけ天気予報」の中継に映ったのがそれです。

TVに顔が映ったので逃亡したアオイですが、彼は超凄腕ハッカーだったので、
TVカメラはおろか、その場にいた目撃者全員の電脳をハッキングして、
自分の顔を、コーヒーショップのロゴをまねたマークで上書きします。
このマークが笑い顔だったため、
どこからともなく彼のことを「笑い男」と呼ばれるようになりました。

一度は約束してくれたのに裏切られたこと。
さんざん正義感に駆られて行動しても何も出来なかった。
この失意から、アオイはこの事件に関わることをやめ、姿をくらましました。
しかし、このことを利用して金をせしめようと考える一派が現れます。
笑い男」を騙って大企業を次々脅迫し、妨害工作を行ったのです。
妨害工作と言っても、イスを笑い男マークに並べるとか、
ミステリーサークル的に模様を描くとか、子供じみた嫌がらせですけど。
しかし嫌がらせの影響で、脅迫された企業は売上げが落ち、
最初に脅迫されたセラノ社を含め、経営不振に陥ります。
経営不振に陥った企業には公的資金が投入され、業績は回復します。
なぜかセラノ社には投入額が少なかったのですが…。

この一連の脅迫劇を演じたのは、実は警察のトップでした。
公的資金を投入する代わりに、裏金をよこせ」と企業に命じていたのです。
それによって、警察上層部と繋がりのある政治家達は、莫大な利益を得ます。
特に厚生大臣だった薬島(元海上幕僚長)が一番がっぽりと。
セラノ社に公的資金が回らなかったのは、
自分たちが根回しした脅迫劇の被害者ではなかったからです。

事の発端である「笑い男」の正体を知るセラノ氏に、
うかつに本当のことを話されると困りますので、
彼を「笑い男事件はまだ続いているので護衛します」という名目で軟禁。
その監視のために、隠しカメラ代わりに、
目で見た映像を外部に出力する「インターセプター」というマイクロマシンを、
護衛に付いていた警察官達の目に仕込みます。
警察官の目を通してセラノ氏は5年間監視され続けました。

そして5年後のある日。
未だに解散していなかった「笑い男事件特捜部」にいた山口刑事が、
偶然入手した不自然なスナップ写真からインターセプターに気がつきます。
インターセプターでのプライバシー侵害行為は禁止されていたので、
警察内部(特に上層部)に何か裏黒い事態が起きているのではないかと察し、
かつての同僚で仲が良かったトグサに相談しようとします。
しかし、そのことに気がついた上司により殺されてしまいます。

山口はもしもの時のことを考えて、疑惑のスナップ写真を自宅に郵送。
同封されていた言づてにより、彼の葬儀に現れたトグサに写真は手渡されます。
レンズの映り込みがないことから、視覚情報を出力したものとトグサ気がつき、
そのことをネタに、警察上層部に真相を開示するよう9課が働きかけます。
しかしあくまでもシラを切ろうとする警察は、
謝罪会見を開き、警部補が個人的にやったことだと幕引きを図ります。

この会見中継を見ていたアオイが、腹立ち紛れに長官襲撃を予告。
会見に出ていた警察幹部の口を使って、今度こそ真実を言えと脅迫します。
世間は「笑い男、再降臨!」とフィーバーしました。
そこで警察は、「笑い男」役としてナナオAというハッカーを仕立て上げ、
彼に長官のSPの電脳をハッキングするウィルスを作らせます。
同時に捜査員には彼を良き所で捕まえ、「笑い男逮捕!」で終幕予定でした。

9課長荒巻はこれらを警察の自作自演だと考え、
ナナオAの監視命令を出します。現場の刑事達も一緒です。
素子は全てがそうとは思わず、パズ、サイトーと共に、長官の護衛に付きます。
かくして長官は、ウィルスに感染したSPに予定通り襲撃されますが、
「自分が笑い男だ」「笑い男の啓示を受けた」「俺がやらないと」と、
中継での「笑い男」再出現に感化された者が次々と現れ、現場は大混乱。
いつの間にか「笑い男」は特定の人物のことではなく、
偶像というか、思想。宗教になってしまっていたのですね。
そのことに驚いたアオイは、再び逃亡。
一方、ナナオAは「偽・笑い男」であることがバレないように、
張り込みの刑事とは別の、糸を引いていた刑事の手によって殺されます。

警察からのアプローチを諦めたアオイは、
今度は村井ワクチンを不認可にした張本人、今来栖を誘拐&脅迫します。
厚生労働省の書庫から「村井ワクチン接種者リスト」を盗みだし、
その中に今来栖本人の名前があることを利用して。
さらに、リストを薬害被害者救済NPOひまわりの会に送付し、
そこからも真実が世に出ることを期待します。
地道な捜査からひまわりの会と接触したトグサは、リストを入手。
今来栖が関わっていることを知り、9課は彼の確保に向かいますが、
厚生省直轄武装組織のマトリ(麻薬取締強制介入班)と戦闘になり、
今来栖は殺されてしまいます。

戦闘で義体を損傷した素子は義体換装に望みますが、
技師に扮したマトリの残党にはめられ危機に陥ります。
そこにアオイが現れ、素子を救うのと同時に記憶を残し、去っていきます。
記憶を得た素子は、アオイに成り代わって、「笑い男」としてセラノ氏に接触
今度こそ事の真相を明らかにする約束を取り付けます。

しかし、その様子をマスコミに撮られてしまい、
笑い男」の正体が素子だと報道されてしまいます。
表向きには存在しないことになっている9課のことも明るみに出てしまいました。
これでは、この事件が終わっても、今後色々とやりづらくなってしまいます。
そのため、荒巻は総理大臣と裏取引をし、
「9課はクーデター考えてる悪者でした」という建前で9課を壊滅させ、
その代わりに、薬島の身辺調査をさせることを約束させます。
総理大臣に責任が及ばないようにするという建前で。

これは荒巻と内閣閣僚でとりきめた綿密な作戦だったのですが、
内務大臣が先走ってしまったため、
薬島の耳にも届き、1刻の猶予もなくなってしまいました。
そこでとりあえず扱いづらいトグサを拘留。
他の9課の面々は、死線をくぐり抜けてきた元軍人ばかりですから、
死にはしないと信じて、襲撃の中に放置しました。
結局は全員拘束されてしまいますが、
拘束の段階では作戦であることが通達されていたのでしょう。
逃げおおせた素子以外は、すんなり釈放されています。
作戦通り、表向きにはテロ集団9課は壊滅、
捜査が入った薬島は後退を余儀なくされます。

そんな作戦を全く知らなかったトグサが、
「薬島の悪事を暴いたのは9課だぞ! 手柄を横取りしやがって!!
真相を明らかにしてやる!!」
とモヤモヤして、かつてアオイがやったのと同じ事をしようとし、
党本部まで行った所を、尾行していたバトーが止め。
新9課本部でメンバーと再会、真相を知ります。

その後、薬島の裁判にて、事の真相を証言することが決まり、
セラノ氏は約束が果たせると清々しい気持ちでいましたが、
車に仕込まれた殺人マイクロマシン(?)により殺されてしまいます。
その仕込みをしたのは、「笑い男事件特捜部」にいた深見。
山口の死について、トグサと喫茶店で親しげに語った男であり、
長官襲撃事件の犯人として偽笑い男を演じたナナオAを殺した男です。
まだまだ警察・政治家の中に闇は残っていることを示唆しつつ幕引き。


一連の顛末はそんな感じです。
長くてすみません。短くできないほど複雑なのが「笑い男事件」なのです。